3月12日(土)、第17回ホノルル・フェスティバルで夢のようなコラボレーションが実現しました。
今年のホノルル・フェスティバルには、先住民族の文化を伝えるため様々な活動をしている、アラスカのアラスカ ネイティブ ヘリテージセンターの皆さん、オーストラリアのディセンダンスの皆さん、そして日本は北海道のアイヌの皆さんが参加してくださいました。
そこで、ホノルルにあるカピオラニコミュニティーカレッジのリンダ・フジカワ先生を進行役にお迎えして、その3つの先住民族の皆さんに一同に集まっていただき、それぞれに伝わる踊りや音楽、そして文化を紹介していただきました。

人と人、文化と文化の出会い
まず初めに、自己紹介を兼ねて先住民の言語を入れながら挨拶をしていただきました。文化の中でも守るべき大切ものの一つは言葉です。遠くさかのぼって先祖から語り継がれてきた言葉そのものがなくなってしまうと、その文化のもつアイデンティティも薄れてしまいます。また、人々がそれぞれ異なる文化の中で使われている言葉に価値を認め、それらを尊重することはとても重要なことです。

アラスカの言葉で挨拶。初めて聞く人も多かったのではないでしょうか。

アラスカの言葉で挨拶。初めて聞く人も多かったのではないでしょうか。

アイヌの文化を一人でも多くの人に知ってもらいたいとホノルル・フェスティバルに参加したそうです。

アイヌの文化を一人でも多くの人に知ってもらいたいとホノルル・フェスティバルに参加したそうです。

挨拶の後、リンダ・フジカワ先生は、観客の方もまじえて知らない人同士で一組になって、手と手を合わせるように言いました。そして更に、足を後ろに少しずつ下げていくように言いました。それは、お互いが協力して支えあわないと倒れてしまうことを実際に体で体験してもらうためでした。その体験によって、皆がヒューマニティー(人が人を思う気持ち)を分かち合うことが大切であるということを伝えたかったのです。

知らない人同士が手と手を合わせて支え合います。

知らない人同士が手と手を合わせて支え合います。

アラスカとアイヌの手と手がつながりました!

アラスカとアイヌの手と手がつながりました!

そしてその後、それぞれの文化を紹介してもらいました。
まず、アラスカ ネイティブ ヘリテージセンターの皆さんは、アラスカの手持ち太鼓のリズムにのって羽でできた扇を振りながら踊るアラスカ先住民ユピック族の踊りを披露してくれました。
次に、アイヌの方達がアイヌ式のお祈りを披露。男性と女性とでやる部分が異なるということで、習いながら観客の皆さんも一緒にやってみました。
そして最後に、ディセンダンスの皆さんが、先祖の魂が降りてきて、幸福をもたらし、またあの世に戻っていくという踊りを披露してくれました。
アラスカの踊りは自然豊かな大地と空を想像させ、アイヌのお祈りの儀式にはスピリチュアルな魂を感じ、アボジリニの踊りには広大な赤い土地と生命の力強さを感じさせられました。異なる場所で守り伝えられてきたそれぞれ独自の文化ですが、自然を崇めつつ共存している人達の文化という点で共通したものがあったように思います。

主にアラスカの西南部に住むユピック族の踊り

主にアラスカの西南部に住むユピック族の踊り

天に語りかけているかのようなお祈り

天に語りかけているかのようなお祈り

アボリジニの伝統楽器と声だけで独特のメロディが生まれます。

アボリジニの伝統楽器と声だけで独特のメロディが生まれます。

 

ひとつになって踊り続けたピースダンス
そして、今回の先住民族の文化交流のクライマックスとなったのが、それぞれのカルチャーを持ち寄り、ひとつになって踊る「ピースダンス(平和のダンス)」です。

ディセンダンスの皆さんが、ブーメランを叩いてリズムをとり、アボリジニの伝統楽器ディジュリドゥを鳴り響かせ、歌を歌います。それに導かれるように、アラスカのアラスカ ネイティブ ヘリテージセンターの皆さん、アイヌの方、その周りにいた人たちも皆、一緒に踊り始めました。その数はどんどん多くなり、恐らく円の外側にいる人には真ん中で何か行われているのか見えなかったと思います。

ディセンダンスのダンサーがエミューの動きを表す踊りをし、アラスカのダンサーが真似をしながら踊るという場面や、アボリジニのリズムにのせて、アラスカの踊りが踊られるという場面もありました。それらは、不思議と調和し、文化の融合がそこに生まれました。太平洋を挟んで向かい合った国の文化が太平洋の真ん中にあるハワイで一つになった瞬間でした。
そこで踊り、手を叩く人たちの顔は、誰もが笑顔で、本当に楽しそうでした。そして、国境を越えて、人々がひとつになって踊った「ピースダンス(平和のダンス)」は、終わったかと思えばまた始まり、何度も繰り返し繰り返し、歌い、踊り続け、結局20分近く続いたのでした。

楽しそうに踊る様子に観客の皆さんの顔にも笑顔がこぼれます。

楽しそうに踊る様子に観客の皆さんの顔にも笑顔がこぼれます。

アラスカ、アイヌ、アボリジニが手をつないで一緒に踊ります。

アラスカ、アイヌ、アボリジニが手をつないで一緒に踊ります。

オーストラリアのアボリジニのリズムにのってアラスカの踊りが。

オーストラリアのアボリジニのリズムにのってアラスカの踊りが。

皆がひとつになって踊り続けました。

皆がひとつになって踊り続けました。

 

 

北海道のアイヌの床州生(とこしゅうせい)さんは、日々の活動の中の一つとして、世界の先住民族が持つ問題を共有していこうとしているということでしたが、ホノルル・フェスティバルに来て、先住民族だけでなく、世界の人が色々な問題に対して意識の共有をしていくと、世界は平和になっていくだろうと思ったとおっしゃっていました。

また、進行役のリンダ・フジカワ先生は、会場に集まった人達全員に、人と人との間の垣根を取りはらえば、皆、同じひとつの Humanbeings (ヒューマンビーイング/人類)であるということ、そして、Humanbeings に ing が付いてるのは、現在進行形ということで、先祖から引き継いできて、これからもずっと続いていくということであり、そのためにはお互いが助け合うことが大切というメッセージを伝えました。

こうして、皆が笑顔で一緒に踊った「ピースダンス(平和のダンス)」は幕を閉じたのでした。

 

須賀連&インターナショナルレインボーチルドレン プロジェクト
~Transcendance~

「平和」と言えば、もう一つ。3月11日(金) 午後1時より、高知県から参加の須賀連の皆さんが「須賀連&インターナショナルレインボーチルドレンプロジェクト ~Transcendance~」というプログラムを、今年初めてホノルル・フェスティバルで開催しました。
レインボーチルドレン プロジェクトは、子供達がその才能を開花できるよう平和な世界をつくっていかなければならないという所から生まれたプロジェクトです。
この日は、須賀連の皆さんが地元ハワイの方に須賀連のよさこいの踊りを教えてくださいました。踊りは、国を越えて、言葉も年齢も全く関係なく、人々を一つにしてくれます。一緒に踊れば、みんな笑顔になり、そこに小さな平和が生まれるのでした。

ちょっと難しそうでしたが、それ以上に楽しんでいるようでした。

ちょっと難しそうでしたが、それ以上に楽しんでいるようでした。

練習を終えて全員で記念撮影。

練習を終えて全員で記念撮影。